ミシルトミチル

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働く女性ほど子どもを産む国、フランス

日本で久しく問題になっている少子化。
同じく先進国でありながら、同じ悩みに向き合い、出生率を急上昇させた実績を持つ国があります。それはフランスです。 

 日本と何が違うのか。具体的にどんな施策が行われたのか。今回は、フランス女性の生き方の価値観が感じられる様々な制度をみていきます。

フランスの出生率の回復ぶりがスゴイ

ミチルさん:

少子化対策でよく良い例としてあがるのがフランスよね。いったいどれくらいスゴイのかな?

フランスの合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)は、1980年代以降急速に下がり1995年には1.65人まで低下しました。
少子化は日本やフランスだけではなく先進国で多くみられる根深い課題です。しかし、フランスはそのあとがすごかったのです。

政府は出生率を2.07にまで改善させる事を目標に、様々な措置を実施します。そして、2011年には欧州トップクラスの2.03まで回復させたのです。

 

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ミチルさん:

1.65ってそんなに少ないの?一人につき一人以上産んでいるのに?

ミシルくん:

現代の先進国では、「2.08」で横ばい、下回れば自然減とされているんだ。ちなみに、日本の2013年の合計特殊出生率は1.43だよ。*1

 

フランスの施策がスゴイ

ユニオン・リーブル(自由な結びつき)と PACS    

ユニオン・リーブルとは、自由な結びつき、いわゆる事実婚です。そして、それを支えるのがPACSです。

PACSとは法的な結婚の手続きをしていないカップルにも、法的結婚をしているカップルと同等の権利を認め公証するもの。事実婚でも、正式に結婚している人と同じ待遇なのです。非嫡出子の権利も、嫡出子と同じです。これによって、1970年に6%だった婚外子は、2008年には52%に達したと言われています。

ミシルくん:

半分以上が婚外子か。「結婚」と「出産」の概念がセットの日本から見ると、衝撃的だね。

ミチルさん:

信じられない数字ね!なら、日本も同じようにすれば少子化は防げるんじゃない?

残念ながら、日本でも同じ事をすればいいかというと、決してそうではありません。結婚届や離婚届を提出すれば自由に婚姻・解消できる日本とは事情が違うからです。

宗教的なことや複雑すぎる手続きの関係で、フランスの「法的な結婚」は、日本とは比較にならないほど大変なことのようです。
そこで、事実婚のまま過ごしているカップルが多いのです。その子供達の権利が保証されたので、安心して出産する人が増えたということですね。

出産・子育てにお金がかからない

  • 産科の受診料、検診費、出生前診断、出産費用などが無料。出産後は乳児手当が支給される。

  •   子ども2人の場合、家族手当がなんと20歳まで支給される。さらに、第3子からは家族補足手当というものがもらえる。

  •   高校までの国公立教育費は無料。

  • N分N乗方式といって、子育て世代、特に3人以上の子どもを育てている世帯に対して、大幅な所得税減税がある。また、子どもを3人養育すると年金が10%加算される。産めば産むほどトクをするシステム。

ミチルさん:

こんなに手厚いのはさすがね。日本では子供を成人させるのにいくら、という話がよく出るように、とてもお金がかかることだものね。

働きながら子育てができる環境

  •   子供が三歳になるまで両親の一方が休職することができる。(日本での産休は産前6週、産後8週。育休は原則として子供が生まれた日から数えて1年間。)

  •   ベビーシッターが一般的に普及している。また、双子や子ども3人以上などの場合に、週に1、2度の家事代行格安派遣が受けられる。

ミチルさん:

もし、日本で出産後に3年も休んだら復帰はむずかしそう・・・。

ミシルくん:

逆に働き続けたり、ベビーシッターに家事をお願いすると「さぼってる」「子供がかわいそう」と思われそうだしね。まわりの意識が変わることが大切だと感じられる制度だね。

産みたい女性を応援する

43歳までの制限はありますが、不妊治療が無料です。
日本では100万円以上かかることもめずらしくない不妊治療ですが、人工授精、体外受精など、不妊治療にかかる費用のほぼすべてが社会保険でカバーされています。(回数制限あり)

「キャリアか、子育てか」
そんな選択をせまられることがなく、女性はママでありながらも一人の女性として尊重されている。そんな雰囲気が伝わります。

最後に、「フレンチ・パラドックス」という面白い考え方について、とても興味深い記事があったのでご紹介します。

「休暇をたくさん取るのに、GDPは世界5位」「男女平等を主張するけれど、男性はジェントルマン」「女性は、ママになっても女性でいようとする」など、フランスにはたくさんのパラドックスがあります。中でも、「結婚が減少しているのに出生率は伸び続け、子どもができても仕事を辞める女性がほとんどいない」というのは、最大のパラドックスでしょうね。

ミシルくん:

こうして見てみると、フランスの制度は本当に充実しているね。

ミチルさん:

どんなに良い制度があっても、使う側が罪悪感を感じるようでは意味がないよね。けれど、フランスはきちんと浸透して結果に表れていることがスゴイわね。

不妊治療にしても、男性の産休にしても、活用することが「当たり前」と思える、まわりの意識が一番大切です。

充実した制度を求めつつ、私たち一人一人の考え方が変わっていけたらいいな。
そう感心したミチルさんでした。

 

フランス女性はなぜ結婚しないで子どもを産むのか

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