つづいての講演は、「妊娠力をUPさせる漢方」。
講師は、猪越 英明先生(東西薬局代表 東京薬科大学 中国医学研究室准教授)です。
妊娠力をあげるには健康で血の巡りの良い体が不可欠です。大学病院でも不妊治療に漢方を利用することがあるとか。
猪越先生が選ぶ妊娠力をアップするための漢方とは、血の巡りを良くしてホルモンバランスを整えるものでした。不妊中に限らず「いつかは出産を」と考えている全ての女性の味方となる漢方です。
妊娠力アップのための3要素
妊娠力アップのために気をくばるべきポイントは、3つ。
「血の巡りを良くする(冷やさない)」「ホルモンバランス」「ストレス」でした。
ミチルさん:
3つとも女性の悩みの種ね。それぞれ、不妊にどんな影響があるの?
ミシルくん:
- 血の巡りがわるい(冷える)
手足が冷えていると子宮内膜症、子宮筋腫などのトラブルを招いたり、子宮内膜や卵胞の発育が悪くなることもあるよ。 - ホルモンバランスが乱れる
卵巣機能低下や黄体機能不全、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、高齢などによってホルモンバランスが崩れることがあるよ。 バランスが崩れたままだと、排卵障害がおきたり、良い卵が取れない原因にもなるよ。 - ストレス
イライラ、落ち込み、気力の低下、眠りの質が悪くなる、生理前のPMSなどの症状が出たら要注意。 ストレスがたまると血流が悪くなってしまうよ。自分の体を守る為の防衛本能が働くためか、 ストレスが排卵にブレーキをかけてしまうことまであるんだよ。
それぞれの対処法
でも、たくさんある漢方の中から、具体的にどのようなものを選ぶのか迷いますよね。 妊娠力のアップにつながる漢方を、猪越先生に教えていただきました。
(1)血の巡りをよくする
血液に栄養を与えて、流れをよくしましょう。
- 補血薬(ほけつやく):質の良い血液を増やすために
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう) - 活血薬(かっけつやく):血液の流れを良くするために
温経湯(うんけいとう)※保険適応
冠元顆粒(かんげんかりゅう) - その他 サプリメントとして
紅沙棘(ほんさーじ)
爽月宝(そうげつほう)
(2)ホルモンバランス対策
ホルモンバランスを保つと老化を防ぐことにつながります。 「腎=ホルモンバランス・生殖機能を守るところ」を強化しましょう。
- 六味丸(ろくみがん)※保険適応⇒腎陰を補う(潤いをたもつ)
- 八味丸(はちみがん)※保険適応⇒腎陽を補う(温める)
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)⇒目を守り、肌に栄養を与える
- 瓊玉膏(けいぎょくこう)⇒体に潤いを与え、疲れをとる
- 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)⇒卵巣機能の低下の対策に
- 至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)⇒男性不妊の対策に
- その他 サプリメントとして
亀板(きばん)製剤/霊芝(れいし)製剤 など
(3)ストレス対策
「肝=自律神経系を調節するところ」を強化しましょう!
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
のぼせやほてりのある方のイライラ、落ち込み、不安の改善 - 逍遥散(しょうようさん)
冷えやすい方のイライラ、落ち込み、不安の改善 - その他 サプリメントとして
牡蠣(カキ)製剤牛黄(ごおう)製剤 など
生理周期に合わせた調整法
女性は生理の周期によって体のリズムが変わります。そのリズムによって欲する効果も異なるのです。決まった漢方をただやみくもに飲み続けるだけではなく、周期に合わせて調整する例を教えていただきました。
※リズムには個人差がありますので、詳細はお近くの漢方の専門医にご相談ください。
最後に猪越先生は「なるべく23時までに就寝することの大切さと、肝とつながりが深いことから夜は目を休ませること (TV、スマホ、PCを避ける)が大切」とおしゃっていました。
ミシルくん:
体のリズムにあわせて漢方薬の組み合わせを変えるなんてスゴイね。治療というより、体のコンディションを整えるために微調整をしている感じだね。
ミチルさん:
そうね。この表の作用って、不妊治療にかぎらず、誰でも整っていたほうがよい「女性本来の体のリズム」だもんね。
それを正常にしてあげることは、不妊治療中かどうかに限らず、女性なら誰にとっても大切なことね。
薬に頼りすぎるのではなく、食事にも就寝時間にも気をつけて、漢方薬にうまく「サポート」してもらうことを期待したいな。
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