9日、オセアニアを歴訪中の安倍首相は、世界各地から女性リーダーを集めた女性だけの国際会議「女性版ダボス会議」を創設する旨を明らかにした。
7月9日、安倍首相は女性版ダボス会議を創設する旨を明らかにしました。 なぜ女性だけ?なぜ安倍さんが? 女性版ダボス会議から考える、日本の女性の輝き方について考えます。
ダボス会議とは?
ミチルさん:
ダボス会議?聞いた事はあるけど、どんな会議だっけ?
ダボス会議は、スイスのダボスで毎年一回開かれる、世界中の選び抜かれたリーダー達が集まる会議です。
参加者は、政治家や大企業のCEO、芸能人やアスリート、文化人など。
とにかく世界中のスゴイ人ばかりを集めた「経済界のオリンピック」で、会場にいる人は誰であろうと対等に話ができる、そんな会議。
世界の課題に向かって、地球規模で協力するためのスケールの大きな会議です。
ミシルくん:
なるほど。「世界中のスゴイ女性ばかりを集めて会議しましょう」ということを安倍さんが発信したんだね。
なぜ女性「だけ」?なぜ安倍さんが?
ミシルくん:
安倍さん発信したのはアベノミクスの「三本の矢」の一つと関係があるからだね。三本の矢、覚えてる?
ミチルさん:
うーん・・・
今更ですがアベノミクスの「三本の矢」とは。
- まずはお金の流通量を増やして、
- 政府が公共事業でお金をつかって(需要を創出)、
- 成長のジャマになるような規制を緩和したり、色々なサポートで民間企業を応援しよう。
です。3つめが「成長戦略」とよばれるとっても肝心なこと。
その「成長戦略」には、いろいろな内容が盛り込まれていて、その中の1つが「女性が輝く日本!」です。
ニュースによると、女性版ダボス会議の提唱は ”女性の力を最大限に発揮できる社会づくりを後押しする意向”ということのようです。
ミチルさん:
わー、世界で活躍する優秀な女性たちから、女性が輝くためのアイデアがたくさん出るなんて、楽しみだな!
なぜ女性が活躍すると日本が元気になるの?
ミチルさん:
女性の活躍に期待してくれるのはうれしいけど、どうしてそんなに注目されているの?
ミシルくん:
それは日本の少子高齢化と大きな関係があるんだ。
ご存知、日本は少子高齢化のまっただ中。
日本の総人口はあと約40年後の2055年に9,000万人を下回り、働き盛りとされる15~64歳の人口比率は約5割にまで低下すると言われています。
ミチルさん:
えー?働き盛りの人数が、半分になっちゃうの??そんな実感、ぜんぜんわいてない。
そう、その日が急にやってくるわけではなく、じわじわやってくるのです。だから、私たちは少しのんびりしすぎてしまったのかもしれません。
このままでは、どんどん「生産力がなく、元気じゃない日本」になってしまいます。海外からみても弱い日本に。
それは阻止しよう!ということで、希望の視線をあびているのが「女性」です。
日本は、他の先進国と比較して「働ける能力があるのに働いていない人」が多い、つまり活用しきれていないパワーが多い国です。だから、その女性たちに、もっと働いてもらおう、というのが狙いです。
ミチルさん:
うーん・・・それって少し調子いいなあと思ってしまうのは私だけ?
働くなと言われたり、働けと言われたり。
これまで、ガラスの天井と戦っていたキャリア志向の女性達は、多かれ少なかれ「そんなに頑張らなくていいじゃない」「早く子供うみなよ」「家事はちゃんとやってるの?」という冷たい視線に耐えていたはずです。
女性が働き続けることが「輝く」とは結びつかない、それが、これまでの多くの日本人の、特に中年男性の多くの価値観だったのではないでしょうか。
また、少子化の話になると、早く子供産もうとか、育児しようと言われるのはどうしても女性になりますが、今の日本で、働き盛りなみに働きながら子供を産み育てるというのは、かなり厳しいのです。
前向きな企業が増えてきたり、民間のサービスや助け合いの制度が充実したりで心強くはありますが、それでも、まだまだ環境が追いついているとは思えません。
ミシルくん:
急に手のひらを返したように「女性が働くことは輝かしい」と言われても・・・ということだよね。「子供を育てながら、女性よ、もっともっとがんばれ」と無理を言われているような気になってしまう人もいるだろうね。
多様性を認め、お互いを尊重し合いながら暮らせる社会へ。
子供を産んで仕事をセーブするか、それとも、ある程度 家庭は犠牲にして仕事に没頭するか。
ここ30年くらいの日本では、女性はどちらかを選択せざるを得なかったのが実情です。本人が片方をあきらめている自覚が薄かったとしても、です。
どちらも手にしているスーパーウーマンは一握りでしょう。
その結果が、今問題になっている「生産力不足」につながっているのだとしたら、環境や制度だけではなく、私たちのもつ「働く女性」「輝く女性」のイメージから変わっていく必要がありそうです。
ミシルくん:
ミチルさんはどうなったら、女性が働き続けながら輝けると思う?
ミチルさん:
うーん・・・むずかしいけど、輝くってイキイキしてるってことだよね。ずっとバリバリ頑張ることだけを考えると「私にはムリ」と思ってしまいそう。
ミシルくん:
確かに、色んなタイプの人や環境の人がいるからね。それを認めるところからスタートだね。才能がある人でも仕事はセーブして家庭を優先したい時期があったり、逆に家庭が落ち着いてきた人が多少ブランクがあっても活動的になりたくなったりね。
ミチルさん:
そう。女性の人生は波が多いと思うの。出産や育児で波が大きくなるのはもちろんだけど、それ以外でも年代によって体調の変化も出やすいし。
ミシルくん:
輝きかたは一定じゃなくて、その人のライフサイクルによって、時々に変わるってことだね。
ミチルさん:
うん。年代やバイオリズムに逆らってふんばらなくても、その時期に適した「イキイキ」とした働き方ができるような柔軟な体制が整えばうれしいな。
ミチルさん:
そういえば、将来の働き方ってあまり具体的に考えた事がなくて、今の延長のような気がしてたけど、自分のライフサイクルにあわせてどんな働き方ができるか、少しシミュレーションしてみる!
社会保障も企業の制度も民間サービスも、多様性を認め合うことが求められています。今後は親の介護をする人口も増えますから、女性だけではなく男性にも大きく関わってくる話ですね。
女性版ダボス会議のニュースを見て、多様性を認め合うことの大切さを知ったミチルさんでした。
*1:
国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」(死亡中位,出生中位)